毎日使っている包丁やナイフ。
あれ、切れ味が鈍っている……?と感じることはないでしょうか?
トマトが綺麗に切れず潰れてしまったり、玉ねぎの汁が以前より目にしみるようになってきたらそれは包丁の『研ぎどき』です。
「気になり始めたらなんとかしたい、でも家に砥石がない!」という方も少なくないと思います。
今回はそんな時に役立つ『砥石の代用品』についてご紹介していきますので、困ったときにはぜひお試しください。
目次
砥石の特徴と代用品を選ぶコツ
まずは、砥石の特徴や、研ぐことでどうして刃物がまた切れるようになるのかを見ていきましょう。
砥石は、大きく二種類に分けられます。
- 天然の堆積岩や凝灰岩を使用した「天然砥石」
- ダイヤモンドやセラミックなどを使用した「人造砥石」
どちらもそれらの硬い粒子を結合材で固めたもので、この粒子が研磨剤の役割を果たします。
包丁やナイフの刃先は薄く鋭利ですが、固いものを切ったりまな板に当たることで細かな傷がついたり、刃先が丸くなっていきます。
その刃先を研磨剤の塊である砥石で研ぎ削ることによって「傷が消え、刃先の切れ味が復活する」という仕組みです。
ただし、固いものなら何でもよいというわけではなく、「粒子が粗いものや偏ったもの」「平らでないもの」を使用すると逆に傷がついてしまったり、刃先が均等に研げず歪んでしまう可能性があります。
ですので、代用品を選ぶ際は以下のポイントを押さえておきましょう。
- 包丁やナイフの刃より硬い粒子を均等に含んでいるもの
- 粒子が細かいもの
- 平坦な形状をしているもの
砥石の代用品はこの5つがおすすめ!
それでは早速、砥石の代用品や代替案をご紹介していきます。
①アルミホイル
アルミホイルの原料となるアルミニウムは、金属でありながら粘着性が高く、融点が低い「構成刃先」という性質をもっています。
アルミホイルを切る際にかかる圧力と摩擦熱によって、刃物の細かい傷にアルミホイルが入り込みます。そして、表面を滑らかに整えてくれるので切れ味が良くなるのです。
【用意するもの】
✔ アルミホイル
✔ 研ぎたい包丁やナイフ
手順
- 適当な長さに切ったアルミホイルを二つ折りにし、折り目に刃を当て紙を切るように切ります。
- 包丁やナイフを水ですすげば完成です。
②瀬戸物やセラミックの食器の裏
糸底や高台、糸尻などと呼ばれる、食器の裏のザラザラした部分を使って研ぐこともできます。
陶器は土製ですが、その陶器用の土の粒子はとても細かく、研磨剤の役目を果たしてくれます。
セラミックは砥石にも使われている素材ですので、もちろん刃物を研ぐのに適しています。
【用意するもの】
✔ 瀬戸物やセラミックの食器
✔ 研ぎたい包丁やナイフ
✔ 濡れ布巾
手順
- 濡れ布巾を広げ、その上に食器を裏返して置きます。
- 食器のザラザラな部分に刃先を20度の角度で当てます。
- ゆっくり引いて、また元の位置に戻して当て、またゆっくり引く、を繰り返します。
※このとき刃先は押したり引いたりしないよう注意してください - 最後に流水で、目に見えない粒子を流して完成です。
③大根とクレンザー
大根とクレンザーで研ぐこともできます。
クレンザーの粒子と大根の水分が混ざり合うと、砥石で磨くときのようなちょうどよい研ぎ汁を作ってくれます。
また、大根の中に走っている繊維が研ぎ汁を逃さず、最後まで均等に磨き上げることができるのです。
使った大根は捨てることになってしまうので、首の部分を使うのがオススメです。
【用意するもの】
✔ 大根
✔ クレンザー
✔ 研ぎたい包丁やナイフ
✔ 水
手順
- 大根の断面にクレンザーをかけます。
- 包丁やナイフを軽く濡らし、まな板の上に平らに置きます。
- 1を刃に当て、くるくると円を描くように擦ります。
- 水できれいに流して完成です。
④サンドペーパー(耐水ペーパー)
サンドペーパーや耐水ペーパーを使って研ぐこともできます。
こちらは砥石で研ぐのと同じ原理で、削ることによって傷を消し、刃先を鋭利にする方法です。
傷が付きそうと心配されるかもしれませんが、サンドペーパーも目の荒さは様々です。
ここではまず800番のサンドペーパーを使っていきます。耐水ペーパーでも代用可能です。
【用意するもの】
✔ 800番のサンドペーパー(耐水ペーパー)
✔ 高さ2〜3センチの台
✔ ガムテープ
✔ 研ぎたい包丁やナイフ
✔ 新聞紙や汚れても良い布
手順
- 汚れ防止のため、テーブルや机に新聞紙を広げます。
- 新聞紙の上に台をのせます。
- 台に、サンドペーパーをガムテープで固定します。
サンドペーパーに段差ができると仕上がりに影響が出ますので、両面テープなどは使わず必ず上下や左右に貼るようにしてください。 - 包丁やナイフを3に水平に当て、研ぎたい部分を指でそっと押さえます。
- 砥石を使うときのように、柄を持った手と押さえた指を同時に前後させ研ぎます。
サンドペーパーは番号が大きくなればなるほど目が細かくなります。
⑤新聞紙
新聞紙に使われている黒インクには、研磨剤によく似た炭素が含まれています。
ですので、新聞紙で磨くことによって刃先を滑らかに整えることができます。
また、刃先についた不純物が落ちることで切れ味を良くなる効果もあります。
黒一色の、できるだけ文字が多い面を使うのがポイントです。
【用意するもの】
✔ 新聞紙
✔ 研ぎたい包丁やナイフ
手順
- 新聞紙を広げます。
- 刃を20度くらいに立てて新聞紙に当て、刃と反対の方向に滑らせていきます。滑らせ、戻して、滑らせ、戻して、を10回繰り返します。
- 今度は逆方向に滑らせます。2と同じ要領で5回繰り返します。
- 新聞紙を細長く丸め、野菜を切るように刃を当て、2〜3回手前に引きます。
- 包丁を洗いインクを落として完成です。
包丁やナイフをできるだけ長持ちさせるには?
使っているうちに切れ味が落ちてしまうのは仕方のないことなのですね。
ですが、以下のようにできるだけ切れ味を長持ちさせる方法もあります。
①まな板はプラスチック製より木製を使う
プラスチック製のまな板はお手入れも楽で便利ですが、硬いためどうしても刃先を傷めます。
木製のまな板に変えることで、切れ味を長持ちさせることができます。
②食器洗浄機は使わない
包丁やナイフは、食器洗浄機には入れないようにしましょう。
サビの原因となり、歯こぼれする可能性があります。
手で洗い、布で水分をしっかり拭き取ったあと、刃を下にして立てて保管しましょう。
③塩分や酸の強いものを切ったらすぐに洗う
漬物やレモンなど、塩分や酸の強いものを切ったあとはすぐに洗って拭きましょう。
鋼性はもちろん、サビに強いとされるステンレス製の包丁でもサビの原因となります。
④塩素系の洗剤や漂白剤はNG
塩素系の洗剤や漂白剤は、刃を侵食し、歯こぼれや細かな穴の原因となります。
魚や肉を切ったあとなどつい使いたくなりますが絶対に避けましょう。
包丁研ぎ代行サービスという選択肢もある
基本的に大きな刃こぼれや、欠けが起こってしまうと代用品での補修は難しいです。
その包丁やナイフ自体を買い換えるか、砥石で研ぐかのどちらかになってしまいます。
買い替えはしたくないけど自分で研ぐのは無理、という方はインターネットで包丁研ぎ代行サービスを頼むという方法もあります。
まとめ
まとめ
✔ 刃物はアルミホイルや食器の底、サンドペーパーで研ぐことができる。
✔ 大根+クレンザー、新聞紙も有効。
✔ 食器洗浄機、酸素系漂白剤はNG。
✔ 塩分や酸の強いものを切ったらすぐに洗う。
いかがでしたでしょうか?
包丁やナイフの切れ味が悪いと、使っていてもストレスが溜まりますよね。
腕に無駄な力が入ったり、力を入れすぎて怪我をするおそれもあります。
そんなときは無理をせず、ささっと身近にあるもので研いでみてくださいね。