家庭菜園で、野菜の根元の土を覆う「稲わら」。
お米は日本人にとってなじみの深い身近な食材ですが、お米が実っていたはずの稲わらを目にする機会は多いとは言えません。
稲わらってどこで手に入るのか、よくわからないと感じる方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、「稲わらを使う理由、そして稲わらがない時の代用品」について徹底解説していきます!
稲わらはマルチング材のひとつ!マルチングとは?
植物の根元をいろいろな素材で覆うことを「マルチング」と言います。
- ビニールや不織布といった「人工的な素材」
- 腐葉土やウッドチップ、ココナッツの繊維などの「自然素材」
などさまざまな素材がマルチング材として用いられます。
お米をとった後に残る、茎や葉などの稲わらもすぐれたマルチング材のひとつです。
フキ
稲わらが沢山余っているので、フキの足元に敷きました。乾燥と防草対策になります。稲作をしている知人から、今年も稲わらとモミガラを頂くつもりです。#フキ pic.twitter.com/9TU31aenvB— いせさきブルーベリー園 (@kubotafarm426) September 4, 2017
稲わらも含めて、マルチングには以下のような役割があります。
①水分の蒸発を抑え乾燥が防ぐ
土の表面から水分が失われるのを防ぎます。
②雨降り時や潅水時の泥の跳ね返りを減らし、泥はねによる病気の予防
土に激しく水が当たると泥の跳ねが上がり葉や果実について、病気になったり、果実の見栄えが悪くなったりします。
マルチングをすることで、泥跳ねを防ぎます。
③雨や水やりで表土が固まってしまうのを防ぐ
土が水に濡れて通気性を失い、固くしまってしまうことを防ぎます。
④雨による土や肥料の流出防止
一度にたくさんの雨が降ったり、続けて雨が降ると畑の表土や肥料分が水と一緒に流れて行ってしまうことがありますので、それを防ぎます。
⑤防虫
すべての虫を防げるわけではありません。
しかし、土に穴を掘って根を食い荒らす虫の侵入を防いだり、地中に卵を産み付けられるのを防ぐ効果もあります。
⑥雑草の防除
雑草が生えるのを抑制したり、雑草の種が土にこぼれることを防ぎます。
⑦土の保温
冬など、寒い季節はマルチングをすることで土の表面や内部の温度が下がりすぎることを防ぎます。
⑧プランターや畑の見栄えが良くなる
いろいろなマルチング素材がありますが、マルチングを施すことでプランターや畑がよりきれいに見栄えが良くなることもあります。
稲わらの代用品はこの6つがおすすめ!
①刈り草
雑草を刈り取った後、天日で干し、乾いたらマルチング材として使用します。
ススキやヨシなど、イネ科の植物だとさらに効果的です。
②もみ殻
もみ殻とは、お米の殻です。
土に鋤きこんで土壌改良剤として使われることもありますが、マルチング材としてもすぐれています。
【ネギ苗を定植】
植え溝に埋まっているのは稲わらならぬもみ殻です。たっぷり入れました。ここら辺がちょっと違うかな? pic.twitter.com/w1lmjFyLci— 赤いルバーブのほたる農園たつの (@hotarunouenn) April 16, 2019
自然分解しますが、分解速度がゆっくりなので、比較的長期間マルチングとしての役割を果たしてくれます。
ただ、風に飛びやすく、散らかりやすいのが欠点です。
住宅密集地の家庭菜園や集合住宅のベランダ菜園では、風によって周囲のお宅にも飛散し、迷惑をかけてしまう恐れもあります。
③コンポスト
生ごみを微生物の働きによって分解し、肥料を作るコンポスト。
このコンポストもマルチング材として使えます。
もちろん、肥料成分もたっぷりですので、生育にも良い効果をもたらします。
④スダレ・ヨシズ
古くなったスダレやヨシズがあれば、捨てる前にマルチング材として利用してみましょう。
しかも2個(^o^)!! 100均ですだれ買ってきて稲わらの代わりに敷いてあげた。 pic.twitter.com/cuKPeOBkfA
— なおち(表) (@na0_uraw) July 6, 2013
糸でとじあわされているので、ばらばらになることがありませんので安心ですね。
⑤むしろ・薄縁
むしろとはわらやイグサで編まれた敷物のこと。
薄縁(うすべり)は和室の畳の上などにひく、イグサで編まれた薄い畳のような敷物のことです。
古くなったものがあれば、マルチング材として利用できます。
⑥わらに形状を似せたシート
ポリエチレンで、わらを並べたかのような編み目状のシートです。
通気性がよく、地温上昇を防ぎます。
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敷き藁の代わりになりにくいもの&注意を要するマルチング素材
①黒マルチ
マルチング材として最も一般的なもののひとつで、黒いビニール素材のシートのことです。
これは地温を保つ効果に優れており、稲わらとは逆の特徴を持ちます。
寒い時期に寒さから植物を守るためには優れた効果を発揮しますが、夏は黒い色が熱を蓄え、地温が上がりすぎてしまいます。
その特性を生かし、土壌の殺菌や雑草の抑制に使われることがありますが、夏野菜の栽培にはあまり適していません。
また、夏に向かって気温が上がり始める5月ころからハダニという害虫が発生します。
高温で乾燥を好む害虫で葉の裏に寄生し、葉を食い荒らします。
気温が高い頃に黒マルチが施されていると、ハダニの天敵となる昆虫にとっては住みづらく、ハダニにとっては住みやすい環境を作り出してしまうため、爆発的に増えて植物に大きな被害をもたらすことがあるのです。
とはいえ、黒マルチが夏野菜作りに全く使えないわけではありません。
スイカやカボチャ、ゴーヤなどのウリ科の植物は、ある程度気温が高くないと発芽しません。
種まきのころ、黒マルチで表土をおおって地温を上げてやることで発芽、生育を助長する働きもあるのです。
②ビニールなど、透水性のないマルチング材
白い色のビニールなどは、熱をためにくいので地温の上昇を防ぐ点では敷きわらと似た効果があります。
しかし、スイカやカボチャなど、つる性で地面にゴロゴロ実がなる野菜にはあまり向きません。
まとめ
まとめ
✔ 稲わらは日本古来から用いられる、優れたマルチング材。
✔ マルチングは以下のような理由があり用いられている。
- 水分の蒸発を抑え乾燥が防ぐ
- 雨降り時や潅水時の泥の跳ね返りを減らし、泥はねによる病気の予防
- 雨や水やりで表土が固まってしまうのを防ぐ
- 雨による土や肥料の流出防止
- 防虫
- 雑草の防除
- 土の保温
- プランターや畑の見栄えが良くなる
✔ 稲わらの代用品は、以下の6つがおすすめ。
【刈り草・もみ殻・コンポスト・スダレやヨシズ・むしろや薄縁・わらに形状を似せたシート】
✔ マルチング素材として一般的な黒マルチは、稲わらとは真逆の特徴を持ち、稲わらの代わりにはなりにくい。
✔ ビニール素材のマルチング材のように透水性のないものは、スイカやカボチャには向かない。