野菜を育てる際に、環境を整えてくれる「敷き藁」。
元気な作物を収穫するには必須と言っても過言ではありません。
しかし、意外と手に入りづらかったり、価格が高かったりと悩んでいる方も多いですよね。
そこで今回は、『敷き藁の代用品』となるものをご紹介していきますので、困ったときにはぜひ参考にしてみてください。
目次
敷き藁の役割とは?必要な理由!
そもそも敷き藁は、どのような役割を果たしているのでしょうか?
まずはそこから見ていきましょう。敷き藁が必要な理由は以下の通りです。
敷き藁の役割
- 土の乾燥予防、保湿
水やりをしても、水分は太陽の熱により蒸発してしまいます。敷き藁は水分の蒸発を抑え、土の乾燥を予防してくれます。
- 雑草の予防
作物の周囲に日光が当たるのを防ぎ、雑草が生えるのを予防してくれます。
- 土の温度をコントロールする
地面と土の間に隙間ができ空気の層を作り、土の温度を上がり過ぎず下がり過ぎないようコントロールしてくれます。
また、直射日光が当たるのを防ぐため土の温度が上がり過ぎるのを防止できます。
冬は霜や凍結防止の役割も果たしてくれます。
- 泥の跳ね返り予防(病気予防)
土には病原菌が含まれています。
雨が降ったり水やりをした際に泥が跳ね返り作物に付着すると、作物の病気の原因となります。
その泥跳ねを防いだり、蔓や作物自体が土に直接触れるのを防ぐことで病気を防ぐはたらきをしてくれます。
- 排水を促す
余分な水が土に入り込むのを防ぎ、排水を促す効果もあります。
- 土が硬くなるのを防ぐ
雨が降ったり、水やりをするたびにどうしても土は硬くなっていきます。
敷き藁をすることで土の中に有機物が入り込み、柔らかな状態を保ってくれます
敷き藁の代用品はこの9つがおすすめ!
①マルチシート(防草シート)を使う
畑の畝をビニールシートで覆ってあるのを見たことがある方も多いと思いますが、敷き藁の代用品として販売されている「マルチシート」という商品です。
土の温度を一定に保つ・乾燥防止・病気防止効果があります。
黒色のものは遮光性が高く、雑草防止効果にも優れています。
透明のものは遮光効果はありませんが、寒い季節に土の温度を上げるのに適しています。
通気性のよい不織布や土に還る素材で作られているものもありますので、お好みで選んでみてください。
【用意するもの】
✔ 植えたい範囲のサイズに合わせたマルチシート
✔ ハサミ
✔ 石などの重し
✔ 苗
手順
- マルチシートを畝の上に被せます。
- シートが風で飛ばないよう石などで抑えます。
- 苗を植える間隔を決め、指で穴を開けて印をします。
- 3であけた穴にハサミを入れ十字に切り開き、その中に苗を植えていきます。
スイカなど蔓がある作物に使う場合、蔓滑りを防ぐためにUピンで固定してくださいね。
②イネ科の雑草を使う
ススキやカヤ、エノコログサ(ねこじゃらし)などイネ科の植物も敷き藁の代用品として使うことができます。
イネ科の植物にはワラと同じはたらきがあり、入手も比較的簡単です。
雑草の原因となりますので種の部分は切り取り、茎を使用します。
そのまま使うこともできますが、青い生のものは発酵する際に熱を出すため、茶色く枯れたものがオススメです。
季節柄枯れたものが手に入らない場合は、一週間ほど天日で干して乾燥させましょう。
見た目も藁に近く、景観も自然です。
【用意するもの】
✔ イネ科の雑草(枯れたもの、もしくは乾燥させたもの)
✔ 苗
手順
- 畝に苗を植えます。
- 風で飛ばないよう苗と苗の隙間を埋めるようにイネ科の雑草を敷きつめます。
※飛びそうで心配な場合は、紐などで抑えておくとよいでしょう。
③スダレやヨシズを使う
スダレやヨシズも敷き藁の代用品として使うことができます。
直射日光を防ぐのはもちろん、スダレ自身にも隙間があるため通気性が良く、土の温度が上がるのを防いでくれます。
ただし、土の温度を上げたい場合は適していません。
風で飛んだり、バラバラになる心配がないので手軽に使うことができます。
また、蔓のある植物は絡むことができるので、蔓滑りの防止にも効果的です。
【用意するもの】
✔ スダレ(ヨシズ)
✔ ハサミ
✔ 苗
手順
- スダレの中央をハサミで丸く切り取ります。
※半円ずつ切った二枚を左右で組み合わせて使うこともできます - 1を畝に並べます。
- スダレの穴の中に苗を植えます。
④新聞紙を使う
最近の新聞紙は大豆由来のインクを使っているため、土を汚す心配がありません。
病気予防はもちろん、保水性があり、土の湿度を保ちます。
また、長期間ではありませんが、植えてすぐの不安定な時期の雑草を防いでくれます。
家にある古新聞紙が使える、ということでコストと手間の面でとても優れています。
【用意するもの】
✔ 新聞紙
✔ 水の入ったジョウロ
✔ スコップ
✔ 石などの重し
✔ 苗
手順
- 畝を新聞紙で覆います。
- 新聞紙の上からジョウロで水をかけ、土にくっつけます。
- スコップなどで等間隔に穴を開け、苗を植えます。
- 風で飛ばないように石や土で重しをします。
⑤腐葉土を使う
腐葉土を土の上に盛ることで、敷き藁の代用になります。
土の乾燥を防ぎ、夏は涼しく冬は暖かく土の温度を保ってくれます。
土に還るので環境に優しく片付けの手間も不要です。
ただし、夏はカナブンの産卵場所になる可能性がありますので避けた方が良いでしょう。
【用意するもの】
✔ 腐葉土
✔ 苗
手順
- 畝に苗を植えます。
- 苗の周囲に腐葉土を集めに盛ります。
⑥もみ殻を使う
もみ殻は土の乾燥を防いでくれます。
また、特に夏場の遮温効果に優れ、土の温度が上がるのも防ぎます。
厚めに撒くと直射日光を遮断し、雑草防止にも役立ちます。
時間に余裕がある場合は、もみ殻を1週間ほど水を張ったバケツに浸けておくと、水の重みで飛び散りにくくなり土馴染みも良くなります。
【用意するもの】
✔ もみ殻
✔ 苗
手順
- 苗を畝に植えます。
- 苗の周囲にもみ殻を敷き詰めます。
- もみ殻の上から土をパラパラと撒きます。
※土が重しの代わりになり、風で飛ばされにくくなります
⑦バークチップ(ウッドチップ)を使う
バークチップは木でできたチップで、ホームセンターや園芸店で購入可能です。
土の表面の乾燥を防ぐと同時に、土との間に空気の層を作ることで土を急激な温度変化から守ります。
直射日光を遮るため、雑草が生えるのも抑制します。
こちらも自然に還るので、片付けの手間がありません。
ただし、湿気を多く含みやすいため、カビの原因になりそのため虫が寄ってくるリスクもあります。選ぶ際は防虫効果のあるものがオススメです。
【用意するもの】
✔ バークチップ(ウッドチップ)
✔ 苗
手順
- 畝に苗を植えます。
- 苗の周辺にバークチップを敷き詰めます。
⑧バーク堆肥を使う
バーク堆肥とは、8割の樹皮と2割以下の鶏糞や尿素、発酵促進剤から作られた有機質の堆肥です。
雑草の防止や土の保湿・保温、乾燥防止や泥跳ね防止効果に加え、土の柔らかさを保つはたらきがあります。
通常は土壌改良のために使われますが、敷き藁の代用品としても適しています。
【用意するもの】
✔ バーク堆肥
✔ 苗
手順
- 畝に苗を植えます。
- 蒸れ防止のため、苗の株から2〜3cmほど離してバーク堆肥を盛っていきます。※目安としては厚さが5cmほどです。
⑨落ち葉を使う
落ち葉を厚く敷き詰めることで、土の保温・保湿効果があり、泥跳ね防止、雑草の防止効果があります。
中でもケヤキの葉は腐葉土に使われるほど土壌に優しいので最適です。
ただし、落ち葉は虫の隠れ家になりやすいので、葉野菜の育成には避けた方がいいでしょう。
【用意するもの】
✔ 落ち葉
✔ 苗
手順
- 畝に苗を植えます。
- 苗の周囲に落ち葉を集めに敷き詰めます。
敷き藁の代用品にコレはNG!
最後に、上に紹介したものに似てはいるけど、敷き藁の代用品として適していないものをご紹介いたします。
①稲藁
同じ藁だから使えそうな感じがしますが、麦の藁と違い稲藁は腐りやすく適していません。
②おがくず
おがくずは、カブトムシやコガネムシにとって絶好の産卵場所です。
幼虫に根をかじられるおそれがありますので使用は避けましょう。
③イネ科以外の雑草(スギナを除く)
イネ科の雑草は繊維質が多く、腐ってもベタベタにならないので敷き藁の代用品として使えますが、その他の雑草は腐敗の原因となります。
ただしスギナだけは例外的に使用できるようです。
まとめ
まとめ
✔ イネ科の雑草、腐葉土や新聞紙、もみがらや落ち葉は敷き藁の代用品として使うことができる。
✔ マルチシートやバークチップ、バーク堆肥などを購入してもOK
✔ 稲藁、おがくず、イネ科以外の雑草は代用品としては不向き
いかがでしたでしょうか?
結構色々なものが代用品として使えるのですね。
敷き藁の効果全てを網羅しているものは少ないので、敷き藁を何のために何の作物に使いたいのか考えて選ぶのが良さそうです。